
自分の言葉で話すには?話せない原因と5つの練習方法【話し方講師が解説】

「自分の言葉で話しなさい。」と言われ、
困ったことはありませんか?
職場・学校・面接など、さまざまな場面で、
「自分の言葉って、どういうこと?」
「ちゃんと自分で考えたつもりなんだけど…」
と戸惑った経験がある方もいるかもしれません。
実は「自分の言葉で話す」というのは、ただ思いついたことを話せば良い、という訳ではありません。
自分が何を感じ、どう考えたのかを整理し、それを相手に伝わる形で言葉にすることです。
私は講師として、多くの生徒さんと接してきましたが、こうした「何を話したらいいか分からない」「自分の意見を求められると頭が真っ白になる」という方は沢山います。
しかし、自分の言葉で話す力は、生まれ持ったセンスだけで決まるものではありません。
この記事では、自分の言葉で話すとはどういうことなのか、なぜ自分の言葉が出てこないのか、そして自分らしく話せるようになるための練習方法を、話し方講師の目線から解説します。
目次
「自分の言葉で話す」とはどういうこと?
「自分の言葉」と聞くと、「誰も使ったことのないオリジナルな表現をしなければならない」と思う方もいるかもしれません。
そんな必要はありません。
自分の言葉で話すとは、自分自身の経験や感情、考えを通して、自分なりに相手へ伝えることです。
例えば、私がレッスンでホワイトボードに「コミュニケーションでは、相手の立場に立つことが大切」というフレーズを書き、これまでの経験や想いを語るのと、
そのホワイトボードの文字を、そういったことをあまり考えてこなかった生徒さんが台本のようにそのまま読み上げるのとでは、伝わるものが違ってきます。
どこかで聞いた言葉をそのまま話しているだけなら、その人自身の考えはなかなか伝わってきません。
これが、私が考える「自分の言葉で話す」ということです。
「自分の言葉」と「借り物の言葉」の違い
私たちは日々、たくさんの言葉に触れています。
本、テレビ、YouTube、SNS、学校、会社。
今なら生成AIから文章やアイデアを得られます。
誰かの考えを参考にすること自体は、決して悪いことではありません。
問題は、他人の言葉を「自分はどう思うのか」と考えないまま使ってしまうことです。
例えば、就職活動で、
「御社の企業理念に共感しました」と話す学生は多くいますが、
「企業理念のどこに共感したの?」
「なぜそう思ったの?」
「あなた自身の経験とどうつながっているの?」
と深堀した質問をすると、急に歯切れが悪くなる学生さんが結構います。
ここまで答えられて初めて、その言葉は少しずつ「自分の言葉」になっていきます。
大切なのは、立派な表現を使うことではありません。
自分の言葉にするために「私はどう思ったのか」「なぜそう思ったのか」までを考えましょう。
なぜ「自分の言葉」で話すことが大切なのか?

自分の言葉で話せるようになると、単に会話が上手になるだけではありません。
仕事や人間関係、面接など、さまざまな場面で役立ちます。
① 相手に伝わりやすくなる
どこかで聞いた抽象的な話よりも、具体的な経験を交えた話の方が、相手はイメージしやすくなります。
「努力が大切だと思います」
より、
「私は人前で話すのが苦手だったので、会議の前には一度声に出して練習するようにしました」
の方が、その人が伝えたいことが分かります。
② 話に説得力が生まれる
自分が経験したことや、そこから考えたことは、深掘りされても答えやすいものです。
「なぜ?」
と聞かれても、自分の中に根拠があるからです。
これは仕事で意見を求められたときにも、面接で質問されたときにも大切です。
③ 「その人らしさ」が伝わる
自分の言葉には、その人が何を大切にしているのか、いわゆる価値観が表れます。
同じ出来事を経験しても、感じることは人それぞれです。
だからこそ、自分の経験や考えを話すと、その人らしさが伝わります。
流暢に話すこと以上に、「この人はこんな考え方をするんだな」と相手に伝わることが、人間関係では大切なのです。
自分の言葉で話せない5つの原因
では、なぜ自分の言葉で話せなくなってしまうのでしょうか。
講師として生徒さんと接していると、「話す技術」以前のところにつまずいているケースも少なくありません。
① 「正しい答え」を探してしまう
「間違ったことを言ったらどうしよう」
「こんなことを言ったら変に思われるかな」
そう考えているうちに、言葉が出てこなくなることがあります。
特に真面目な人ほど、会話にも「正解」があるように感じてしまうことがあります。
しかし、
「休日は何をしていますか?」
「この仕事についてどう思いますか?」
といった質問に、一つの正解があるわけではありません。
自分の言葉で話すためには、まず「正解を答えなければ」という考えに縛られないようにする必要があります。
② 自分がどう感じたのかを考える習慣がない
映画を見た。
旅行に行った。
仕事で失敗した。
友人と話した。
毎日いろいろな出来事がありますが、そのとき、
「自分はどう感じたんだろう?」
と考える習慣がないと、いざ意見を求められたときに言葉が出てきません。
自分の言葉は、話す瞬間だけに作られるものではありません。
普段から自分の気持ちや考えに目を向けることが大切です。
③ 人の意見に合わせすぎてしまう
「私もそう思います」
「確かにそうですね」
人に合わせることは、コミュニケーションに必要なことでもあります。
しかし、いつも相手に合わせていると、自分自身が何を考えているのか分からなくなることがあります。
相手と違う意見を持つことは、相手を否定することではありません。
「私はこう感じた」という自分の視点を持つことも大切です。
④ 頭では分かっていても言語化できない
「言いたいことはあるんだけど、うまく説明できない」という方もいます。
これは、自分の考えがないとは限りません。
頭の中にある感覚や考えが、まだ言葉として整理されていない状態です。
そんなときは、いきなり上手に話そうとするより、まず書いてみることも有効です。
⑤ 人に話す経験が少ない
そして、意外と大きいのが「実際に話す経験」です。
頭の中ではまとまっていたのに、人に説明してみたらうまく話せない。
反対に、人に話している途中で、
「あ、自分が言いたかったのはこういうことだったんだ」と気づくこともあります。
人と話すことは慣れが必要ですし、自分の考えを整理する練習になるので、機会があったらどんどん挑戦するべきです。
「自分の言葉で話せない人」の特徴
「自分の言葉で話せない」というと、語彙力や話術の問題だと思われがちです。
しかし、話し方を教えていると、必ずしもそうではないと感じます。
例えば、あらかじめ用意した文章なら、とても上手に話せる。けれど、
「それについて、あなたはどう思いますか?」
と自分の考えを問われると、急に言葉が止まってしまうという人は結構多いです。
これは「話す能力がない」というより、自分の考えをその場で整理して言葉にすることに慣れていないのです。
だから私は、きれいな回答を作ることだけが話し方の練習だとは考えていません。
むしろ、
「なぜそう思いましたか?」
「具体的には?」
「あなた自身はどうしたいですか?」
など問いかけながら、自分で考え、自分の言葉にしていく経験が大切です。
最初は「分かりません」でも構いません。
そこから一緒に考えていくことで、少しずつ自分自身の考えが見えてきます。
自分の言葉で話せるようになる5つの練習方法
では、今日からできる具体的な練習方法を紹介します。
① 「どう思う?」と自分に問いかける
まずは日常生活の中で、自分の考えを確認する習慣をつけます。
ニュースを見たら、
「(私は)これをどう思った?」
映画を見たら、
「どこが一番印象に残った?」
仕事が終わったら、
「今日は何がうまくいった?」
と自分に問いかけてみてください。
立派な答えである必要はありません。
「面白かった」
「ちょっと嫌だった」
「自分だったらこうする」
くらいから始めれば十分です。
② 感じたことを一度書き出す
話すのが難しければ、最初は文章にします。
例えば、
「今日の会議で発言できなかった」と書いたら、
「なぜ?」を追加します。
「間違ったことを言うのが怖かったから」
さらに、
「なぜ間違うのが怖い?」
と掘り下げてみる。
こうして言葉にすることで、漠然とした感情や考えが整理されていきます。
③ 「なぜ?」を一回だけ付け加える
難しく考えすぎる必要はありません。
自分の意見に「なぜ?」を一つ付けるだけでも、話は大きく変わります。
「この仕事が好きです」
↓
「なぜ?」
↓
「お客さんから直接ありがとうと言ってもらえるからです」
これだけで、その人自身の価値観が少し見えてきます。
意見+理由をセットにする習慣をつけましょう。
④ うまく話そうとせず、人に話してみる
自分の言葉で話そうとするとき、最大の敵になることがあるのが、「上手に話さなければ」という気持ちです。
途中で言い直してもいい。
少し考える時間があってもいい。
まずは家族や友人など、安心して話せる相手に、
「今日こんなことがあってさ」
と話してみてください。
話しているうちに考えがまとまってくることがあります。
⑤ 相手との対話で自分の考えを深める
私はこれが、とても大切だと考えています。
自分の言葉は、一人で考えて完成させてから人に話すものとは限りません。
人に話す。
↓
相手から、「それってどういうこと?」と聞かれる。
↓
もう一度考える。
「うーん……。多分、こういうことかな」
その繰り返しによって、自分でも気づいていなかった考えが見えてくることがあります。
自分の言葉は「対話」の中でも育っていくのです。
【体験談】面接で自分を出せなかった学生さんの変化

話し方教室シャンティには、就職活動の面接に悩んでいた大学生のAさんが通われていたことがあります。
Aさんは真面目に就職活動へ取り組んでいましたが、10社ほど面接を受けても、なかなか思うような結果につながりませんでした。
特に苦手だったのが、自分より年代が上の人とのコミュニケーションです。
そこでレッスンでは、面接の模範回答を覚えることだけではなく、実際に人と話して自分の言葉で話すための練習を重ねました。
さまざまな年代の人と会話し、講師から自分では気づかなかった話し方のクセについてフィードバックを受ける。
そうした経験を重ねることで、人と話すことへの不安が少しずつ減っていきました。
そして最終的には、第一志望の企業から内定をいただくことができました。
面接対策というと、「何を答えるか」ばかり考えてしまいがちです。
しかし、用意した文章を上手に話すことと、相手の質問を聞き、その場で考え、自分の言葉で答えることは少し違います。
普段から人と対話する経験を増やすことも、大切な面接対策なのです。
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面接で「自分の言葉で話してください」と言われたら?
就職活動でも、「自分の言葉」はよく求められます。
面接官から、
「暗記した文章ではなく、自分の言葉で話してください」
と言われることもあるでしょう。
このとき求められているのは、奇抜な回答ではありません。
模範回答を丸暗記しすぎない
志望動機や自己PRを準備することは大切です。
しかし、一字一句暗記すると、質問の角度が少し変わっただけで答えられなくなることがあります。
文章ではなく、
「一番伝えたいこと」
「その理由」
「具体的な経験」
という要点を覚えておきましょう。
自分の経験と結びつける
例えば「私はチームワークを大切にしています」
だけでは、その人自身の考えは伝わりにくいでしょう。
「アルバイトで○○という経験があり、そのとき一人で抱え込むより周囲に相談した方が結果的にうまくいったため、チームワークを大切にしています」
と自分の経験につなげれば、自分の言葉になります。
想定外の質問こそ、考えてから答えていい
準備していない質問が来ると、焦ってしまいます。
しかし、すぐに答えなければならないわけではありません。
少し考えてから、
「私は○○だと思います」
と答えて構いません。
面接は暗記した回答を発表する場ではなく、面接官とのコミュニケーションの場でもあります。
自分の言葉で話すために「話し上手」になる必要はない
最後に、話し方講師としてお伝えしたいことがあります。
自分の言葉で話すことと、流暢に話すことは同じではありません。
途中で言葉に詰まることもあるでしょう。
「うまく言えないんですけど……」
と前置きすることがあっても構いません。
それでも、
「自分はこう感じた」
「私はこう考えている」
と伝えようとしている言葉には、その人自身が表れます。
反対に、どれだけ流暢でも、どこかで聞いた言葉を並べているだけでは、その人が何を考えているのか分からないことがあります。
大切なのは、うまい言葉を探すことではありません。
自分が何を経験して、何を感じ、どう考えたのか。
まずはそこに目を向けてみてください。
まとめ|自分の言葉は「考える×言語化×対話」で育つ
自分の言葉で話すためには、特別な才能は必要ありません。
大切なのは、
自分で考えること。
考えたことを言葉にすること。
そして実際に人と話してみること。
といったことです。私は、
自分の言葉 = 考える × 言語化する × 対話する
だと考えています。
最初から上手にできなくても構いません。
「私はどう思うんだろう?」
と自分に問いかけるところから始めてみてください。
そして、それを誰かに話してみる。
相手から質問されたら、もう一度考えてみる。
この繰り返しによって、少しずつ「借り物ではない、自分の言葉」が育っていきます。
話し方教室シャンティでも、人前で話す技術だけでなく、自分の考えを整理し、相手へ伝えるためのコミュニケーションを実践的に学んでいます。
「自分の考えをうまく言葉にできない」
「人から意見を求められると、何を言えばいいか分からなくなる」
そんな悩みがある方も、まずは実際に言葉にして、人と話すところから始めてみましょう。

